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2024.11.22
一部だけの外壁塗装はおすすめしない!部分塗装で注意すべきポイントを紹介

「一部だけ塗装すれば、安く早く済むのでは?」と迷っていませんか。
外壁の部分塗装は技術的には可能ですが、仕上がりの色・艶ムラや足場費用の重複によって、長期的には割高になるケースが多いです。
本記事では、部分塗装をおすすめしにくい理由、全体塗装との費用・工期の違い、費用相場、DIYで対応できる範囲と注意点、そして部分塗装が有効になる例外条件までを整理して解説します。
この記事を読むことで、ご自宅の状態と予算に合った最適な進め方を判断できるようになります。無駄な出費や後悔を避けるために、まずは全体像を押さえてから検討を進めましょう。
外壁の「一部だけ塗装」ってできるの?
結論からお伝えすると、一部だけの外壁塗装は技術的には可能です。ただし、おすすめできるのは条件がそろう場合に限られます。具体的には、以下のようなケースです。
- 築浅でごく一部のみに劣化が集中している
- 数年以内に張り替えや全体塗装を予定しており、それまでの延命・応急として行う
- 全体塗装から日が浅く、外壁の状態がほぼ良好で、局所的な損傷だけを直す場合
部分塗装は可能ですが、新旧塗膜の差による色・艶ムラや、足場・養生費用の重複で長期的に割高になりやすい点に注意が必要です。
一方で、「当面の応急処置」「家全体の状態が良好」「将来の全体工事が見えている」といった条件のいずれかに当てはまる場合は、部分塗装を検討する価値があります。
一部だけの外壁塗装をおすすめしない6つの理由

もし外壁塗装を行うなら一部だけの塗装はおすすめしません。その理由は以下の通りです。
- 長期的に見てコストが高くなる
- 仕上がりの色や艶にムラが出る
- 全体の外壁劣化を抑えることができない
- 一部だけの外壁塗装でもそれなりに工期がかかる
- 将来的なメンテナンス計画が立てづらくなる
- 足場などの準備・片付け作業を何度も行う可能性がある
それぞれ詳しく解説します。
長期的に見てコストが高くなる
一見、部分塗装は全体塗装に比べて初期費用が安いように思えますが、長期的に見ると損をする可能性があります。部分塗装は時間が経つにつれて他の部分も劣化し、結局は何度も塗り直しが必要になることが多いです。
結果、トータルのコストは全体塗装を行った場合よりも高くなります。また、一部だけの塗装は外観の均一性を損なうため、最終的に全体塗装への移行が必要になり、余計な出費を招くおそれがあります。
仕上がりの色や艶にムラが出る
一部だけの塗装の大きな問題の一つは、仕上がりの色や艶にムラが生じやすいことです。新しく塗装した部分と既存の塗装部分との間で、色や艶の違いが目立ちます。
ムラが出る原因は日光による退色や塗料の経年劣化であり、特に日当たりの良い面とそうでない面で色の差が顕著に出ます。ムラは外壁の美観を大きく損なうため、特に外観を重視する場合には避けたい問題です。
一方、全体塗装では色の不均一性を避けられます。
全体の外壁劣化を抑えることができない
一部だけの塗装では特定の劣化した一部だけに焦点を当てるため、家全体の劣化を抑えられません。外壁の劣化は一部だけでなく、全体的に進行することが一般的です。
したがって、一部だけの塗装では未塗装の部分の劣化が進行し続け、結果的に全体的なメンテナンスの必要性が高まります。劣化の進行は、特に気候や環境の影響を受けやすい地域において顕著に出るため注意が必要です。
全体塗装を行えば、外壁全体の劣化を均等に防げます。
一部だけの外壁塗装でもそれなりに工期がかかる
部分塗装は全体塗装に比べて工期が短いと思われがちですが、実際には一定の時間がかかります。塗装作業自体は短時間で済みますが、準備作業や塗料の乾燥時間、後片付けなどを含めると予想以上に日数が必要です。
また、一部だけの塗装の場合は塗装する範囲を正確に区切る必要があるため、追加の時間を要する場合もあります。さらに、塗装する範囲の周囲を保護するための養生作業が必要になり、工期を延ばす一因となるため注意が必要です。
将来的なメンテナンス計画が立てづらくなる
一部だけの塗装を行うと、将来的なメンテナンス計画を立てにくくなります。一部だけの塗装は一時的な解決策であり、全体の塗装状態が不均一になるため、次にいつどの部分を塗り直すべきか判断が難しくなるのです。
効率的なメンテナンススケジュールの策定が困難になり、結果として外壁の寿命を短くしてしまう可能性があります。また、部分塗装を繰り返せば外壁全体の状態が不均一になり、最終的には全体の塗り替えが必要になるため注意が必要です。
足場などの準備・片付け作業を何度も行う可能性がある
全体塗装ではなく、一部だけの外壁塗装を行う場合、未塗装部分の劣化が進む可能性が高いため、複数にわたる外壁塗装が余儀なくされます。
それに伴い、全体塗装では一度で済む足場設置などの準備・片付け作業が何度も必要になってしまいます。コストを抑え、効率化を目指すために、一部だけの外壁塗装はおすすめしません。
一部だけの外壁塗装と全体塗装の比較
ここでは、一部だけの塗装と全体塗装の工期やコストを比較していきます。以下、表にて違いをまとめました。
| 部分塗装 | 全体塗装 | |
|---|---|---|
| 工期 | 工期は短めだが、塗装する範囲の養生や準備作業に時間がかかる場合 もある | 工期は部分塗装に比べて長くなるが、 一度の工事で全体が完了する |
| かかるコスト | 初期費用は低いが長期的に見るとトータルコストは高くなる | 初期費用は高いですが、長期的に見るとトータルコストは抑えられる |
| 仕上がり | 新旧の塗装部分の色や艶の違いが 目立ち、外観の均一性が損なわれる | 仕上がりの均一性が保たれ、美観を 損なうことが少ない |
| 劣化防止効果 | 特定の劣化した部分のみを対処するため、家全体の劣化を防ぐことはできない | 外壁全体の劣化を均等に防げて、 全体的な耐久性が向上 |
| メンテナンス計画 | 一時的な解決策であるため、その後のメンテナンス計画が立てにくい | 長期的なメンテナンス計画が立て やすく、外壁の状態を一定に保つ ことが可能 |
一部だけの塗装は初期費用が低いというメリットがありますが、長期的な視点で考えると、全体塗装の方がトータルコストを抑えられ、外壁全体を一定の状態に保つことができます。したがって、外壁塗装を検討する際には長期的なメリットを考慮して、全体塗装を検討してみてください。
外壁塗装を業者に依頼したいとお考えでしたら、塗装専門の会社「Studio テツ」に一度ご相談ください。家の全体塗装作業を適正価格にて行います。
一部だけの外壁塗装が有効な事例
家の状態によっては、一部だけの外壁塗装が有効な場合もあります。事例をまとめると以下の通りです。
- 築年数が浅い家の一部だけが劣化している
- 数年後に外壁の張り替えを予定している
- 全体塗装から間もないが一部だけが劣化している
- 特定の箇所だけが劣化している
それぞれ詳しく解説します。
築年数が浅い家の一部だけが劣化している
築年数が浅い家では、全体的な外壁の状態はまだ良好です。しかし、特定の部分が直射日光に当たっていたり雨水が直接当たる面であれば早期に劣化する恐れもあります。
この場合、一部だけの塗装は効果的な選択肢となります。全体的な外壁の状態がまだ良好であるため、一部だけのメンテナンスで外壁の寿命を延ばすことも可能です。
数年後に外壁の張り替えを予定している
外壁の全面的な張り替えや大規模なリノベーションを数年以内に計画している場合、一部だけの塗装は一時的な解決策として有効です。一部だけ塗装することによって外壁の見た目を一時的に改善し、大規模な工事までの間、外壁を適切な状態に保てます。
さらに、全体的な外観を維持しつつ、将来必要になるかもしれない大規模なメンテナンスに備えることも可能です。
全体塗装から間もないが一部だけが劣化している
外壁全体の塗装を行ってからそれほど時間が経っていない場合、一部だけが特定の原因で劣化する場合があります。例えば、機械的な損傷や特定の環境要因によるものです。
もし再度の全体塗装を行うほど日が経っていないなら、部分塗装は有効な選択です。全体的な外壁の状態がまだ新しく、一部だけの塗装によって劣化した部分のみを修復すれば、外壁全体の寿命を延ばせます。
特定の箇所だけが劣化している
外壁の中で特定の箇所だけが劣化している場合、一部だけの塗装は有効な対策となります。例えば、水漏れや機械的なダメージによる劣化が多いです。
劣化している箇所以外の全体的な外壁の状態が良好であれば、一部だけの塗装によって効果的に問題を解決できます。一部だけの塗装であれば必要最小限の修復で外壁を保護し、全体の外観を維持することが可能です。
一部だけ塗装する場合の費用相場
「外壁の一部だけ」といっても、施工範囲・高さ・足場の有無・下地の状態・塗料グレードで金額が大きく変わります。まずは施工範囲別の費用相場を把握しましょう。いずれも現場状況で上下するため、最終判断は複数社の見積もりを比較するのが安心です。
| 施工範囲 | 相場 | 備考 |
|---|---|---|
| クラック補修+タッチアップ (数十cm〜1m程度) | 約1〜5万円 | 色合わせが必要な場合は後述の調色費が加算されるケースもあります。 |
| 小面積の部分塗装 (1〜3㎡程度) | 約5〜8万円 | 戸建て1階の手の届く高さで足場不要の場合の目安です |
| 部分補修 | 約5〜18万円 | ひび・欠けの補修、チョーキング部の再塗装、付帯部の養生を含みます2階以上や複雑な形状の箇所は費用が高くなるケースもあります |
| サイディング1面だけ塗装 (20〜40㎡目安) | 足場なし:約20〜40万円足場あり:約40〜65万円 | 足場の有無で大きく費用が変わるケースがあります |
足場費用は、一式15〜25万円前後が目安で、2階以上や凹凸が多い外観の場合は高くなります。将来の全体塗装と分けて工事すると、足場費用を二重払いしやすく、長期の総額が割高になりがちです。
例えば、2階部分を含むサイディング1面(25㎡)をシリコン系塗料で部分塗装する場合で考えてみましょう。
- 施工単価(下地処理+3工程):25㎡ × 3,000〜4,500円 = 7.5〜11.25万円
- 養生・諸経費:2〜5万円
- 足場:18〜25万円
- 概算合計:28〜41万円(足場あり)
※足場不要の低所のみであれば、10〜16万円程度に収まることがあります。
DIYで外壁を一部だけ直すのは可能?
低い場所の小面積(目安1〜3㎡)で軽微な劣化ならDIYでも対応可能です。一方で、構造に関わる劣化や高所作業はプロに任せるべき領域です。安全と仕上がり、将来コストを踏まえて見極めましょう。
具体的には、以下のような範囲であれば、DIYで補修できるケースがあります。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 位置・面積 | ・1階で手が届く高さ(脚立1段〜2段で無理なく届く範囲)・1〜3㎡程度 ※広げても最大10㎡以内までが目安です。 |
| 症状の程度 | ・ヘアクラック(髪の毛程度の細いひび)・表層の退色・チョーキング(白い粉)・小さな欠けやピンホール、局所的な汚れや雨染み |
| 外壁材の状態 | 下地の浮きや大面積の剥離がなく、目地シーリングが健全 |
一方で、以下のような症状が見られる場合は、無理をせずにプロに相談することをおすすめします。
- 2階以上・傾斜地・強風地域での高所作業
- 構造ひび(名刺が差し込める幅や階段状の割れ)
- 雨漏りを伴う症状
- 外壁の浮き・反り・爆裂
- ALC(発泡コンクリート系パネル材)やモルタルの大きな欠損
- サイディングの目地打ち替えが必要な状態
- アスベスト含有の可能性がある旧塗膜の除去
まとめ
外壁の一部塗装は、築年数が浅くてごく一部だけ劣化している場合や、数年後に張り替えを予定している場合のつなぎなど、条件が合えば有効な手段になります。
とはいえ、多くのケースでは色や艶にムラが出たり、足場を何度も組むことになって費用が高くなる可能性もあります。また、DIYで対応できるのは低い位置の小さな範囲に限られ、状態によってはかえって劣化を進めてしまうことになりかねません。
見た目やコスト、将来のメンテナンス計画まで含めて考えると、全体塗装を検討した方が安心につながる場面が多いです。
ご自宅の状態やライフプランに合わせて、どんな塗装方法が合っているのか見直してみましょう。